住む場所とかかりつけ医のこと

私は20代、30代のころ、

しょっちゅう引っ越しをしていた。

 

数えてみたら、18歳から42歳までの間に15回。

1年半に1回の割合で引っ越しをしていることになる。

 

なんでそんなことになったんだ??と

それぞれの引っ越しを振り返ってみれば、

それぞれに事情があったことを思い出す。

 

そして、引っ越しは嫌いじゃなかったりする。

 

いまのマンションに引っ越してきてからは

途中で一度マンション内引っ越しをしているけれど

基本は同じところに14年間住み続けている。

 

引っ越しの必要がなかったから

引っ越さなかっただけだけれど、

子育てのことも大きく関係していると思う。

 

通園や通学のことがあるので、

そうそう簡単に環境を変えることはできない。

 

でも、もうそういうことをあまり考えなくていい時期に入り、

むしろ引っ越したほうがいいかもしれない状況も考えられ、

一時はそれが少し現実的になったので

久しぶりに引っ越しをイメージしてみたことがあった。

(その後、状況は解除された)

 

引っ越し先の候補の場所を決めて賃貸物件をネットで探し、

その間取りをもとにしてものの置き場所を考えてみたり。

この段階では「引っ越し=住空間が変わる」だった。

 

そういう作業は好きなのではじめは楽しんでいたのだが、

リアルに引っ越しをイメージしながら

何か困ることはあるだろうか?と考えていたら、

とても困ることを思いついた。

 

それはなにかというと、かかりつけ医が変わること。

 

つまり「引っ越し=住環境が変わる」ことに気づいた。

近所の風景やお店が変わることは少し楽しみだが

病院については不安しかない。

 

20代、30代のころは

そもそも病院にお世話になること自体が少なかったし

お世話になるとしても短期間だった。

 

一方いまは、小児科・内科から始まって

歯科、皮膚科、眼科、耳鼻科、婦人科、

乳がん検診のためのブレストクリニック、

場合によっては整形外科など、

身体の部位ごとにかかりつけ医がいっぱいいる。

 

引っ越すということは

そのうちのほとんどを変えるということであり、

いままでの経過を把握してもらっている

お医者さんからはなれること自体が不安だし、

新しく信頼できるお医者さんをさがすというのも

けっこう大仕事になることが予想できる。

よい出会いがあればいいけれど。

 

逆にいえば、私としては最後のチャンスかもしれない。

70代、80代になってかかりつけ医を変えるのは難しいが、

60代までだったらアリかもしれない、なんて思っていた。

 

が。

 

そうはいかないと感じたのが

例のコンタクトレンズの一件だったのだ。

 

もともと眼科は2か所通っていた。

 

うち1か所は家から20分くらいかかるところにある眼科で、

コンタクトレンズの検査や処方をはじめとして

もともとの眼のかかりつけ医だった。


その後、近所に新しく後者ができ、何しろ近いので

眼に何かあったときにはこちらに行くようになっていた。

 

コンタクトについてはひきつづき前者のお世話になっていたのだけれど、

あるとき、前者の眼科が事情により閉院になってしまったのだ。

 

気に入っているところだったのでショックだったし、

どうしたものか迷いつつ検診もしないまま時が過ぎていたのだが、

さすがにもうそろそろコンタクトレンズを換えなくてはいけない時期になり、

もうひとつの眼科に1年数ヶ月前に処方箋を出してもらいに行った。

 

そこはそこで眼科としては信頼していたけれど

コンタクトレンズについてはこれまでとは勝手がちがっていて、

処方されるレンズのメーカーも変わってしまい

使いはじめのときになんとなく眼に違和感があったりして

不安があったのを覚えている。

 

数日で慣れて1年数ヶ月は特に不具合はなかったので

レンズがあっていなかったわけではないと思うけれど、

病院が変わったことによる私の心理的な負担は確かにあった。

 

今回も、もし前者の眼科で眼鏡をすすめられたなら、

もっと素直にコンタクトレンズを卒業できていたように思う。

 

後者の眼科だってけっこうな年数お世話になっているのであり、

そういう病院に対してさえこんな状態なら、

すべての科で新しいお医者さんをさがして見つけるのは

そうそう簡単に実現できることではないと思った。

特に不安感の強い自分の場合。

 

「いい病院」「いい先生」を見つけるのも大事だけれど、

「同じところに長くお世話になる」というのは

それはそれで大事なことだと思うわけなのだ。

 

というようなことにあわせて

トシをとると賃貸物件を新しく借りるのが大変になるし

特に私の場合は厳しいだろうということを考えあわせると、

よほどのことがない限りこの地で暮らしていくのだろうなぁ、

と最近では思っている。

 

引っ越しが嫌いじゃない自分としては

若干、残念な気がしないでもないけれど、

このトシになると、

同じ場所に住み続けることができるのであれば

それにこしたことはないのかもしれない。

 

あのとき引っ越しのイメージをするのが楽しかったのは、

住環境のことよりも住空間のことが大きかったと思う。

 

そしてそれは、ミニマリズムへの憧れにつながっている。