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えらいこっちゃ/魚川祐司『仏教思想のゼロポイント 「悟り」とは何か』
(魚川祐司著/新潮社/2015年)

◆◆◆

読み始めていきなり引き込まれてしまった。
「面白い! 仏教ってわかっていいんじゃん!」
そう思った。

この時点で「わかった」わけではなく、
「わかっていいんだ!」と思えたそのことが
まず新鮮だった。

そしてひととおりざっと目を通した。

興奮がおさまってきて、
2回めにページをめくっている今、
えらいことなってしまった…と感じている。

自分がWeb上に書いたもので、
「縁起」という言葉をメインに使ったテキストに、
訂正の文章を入れなければならない。
「すみません、ものすごく勘違いしていました」と。

しかし訂正するには、
「では何をどう勘違いしていたか」
ということをある程度書くのが筋だと思う。

それができそうにないのだ。

言葉の意味を間違っていたのなら
間違ってましたと書けばいいのだけれど、
私が勘違いしていたのは、
そういうレベルのことではなさそう。

困った。

どうしよう。

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はじめに
前提と凡例

第一章 絶対にごまかしてはいけないこと―仏教の「方向」
第二章 仏教の基本構造―縁起と四諦
第三章 「脱善悪」の倫理―仏教における善と悪
第四章 「ある」とも「ない」とも言われないままに―「無我」と輪廻
第五章 「世界」の終わり―現法涅槃とそこへの道
第六章 仏教思想のゼロポイント―解脱・涅槃とは何か
第七章 智慧と慈悲―なぜ死ななかったのか
第八章 「本来性」と「現実性」の狭間で―その後の話

おわりに
あとがき

索引


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この本は、丁寧で細やかでありながら、
大きな柱を立てつつ、
仏教とはなんであるかをわかりやすく説明してくれる。

章タイトルからわかるように、
メインテーマは後半にあるが、
私にとってはまず前半がすごすぎて、
まだそこで気持ちがいっぱいいっぱい。

特に第二章と第四章は
自分のために書かれたのかと思うほど。

1回目に読んだとき、
私は「縁起」を難しく考えすぎていたと思った。

ちょうど数学教育ブログのほうで
『圏論の歩き方』という本を読んでいて、
そのなかで「縁起」の話が出ていることを
とりあげたばかりだった。
『圏論の歩き方』第12章/見える矢印、見えない矢印

あのときには、
「こういう話で出される縁起とはこんなものだろう」
くらいに思っていたのだが、
基本的にはこの通りなのだと思いなおした。

第一章については、過去に読んだ本のおかげで、
仏教の「方向」を大きく勘違いしてはいなかったし、
ごまかしてもいないと自分で思えた。

なのに、「縁起」がちがう。

さらには、先の「方向」と、
この本が説明してくれる縁起や無我は、
辻褄があう。納得がいく。わかりやすい。

ということは逆に、
これまでの自分の考えは
辻褄があわなかったということになる。

問題は、なぜそれで気持ちわるくなかったのか、ということ。

まるで2つの別のものを扱うように、
仏教をとらえていたのに。

私はそもそも仏教というものを、
そうそうわかることなどない、
深遠なものと考えていたのだと思う。
というより、そう考えたかったのだと思う。

もちろん仏教が深遠であることにかわりはなく、
1冊の本ですべてがわかるはずもなく、
何につけすべてがわかるということなどないのだが、
腑に落ちるということはある。

腑に落ちそうないま、
腑に落ちていないどころか、
腑に落としたいものさえなかった自分を知り、
いったいどういうつもりだったのか、
思い出すこともできない。

たとえば先ほどリンクした数学の本でいえば、
第12章はともかく、他の章については
「わかんねー、わかんねー、わかんねーよ、
 何の話してるんだこの人たち〜〜」
と悶々とするのに、
仏教に対する悶々はなかった。

なんというのか、ハナから、
仏教の「深遠さ」「わからなさ」に
依存していたような気がする。
 
だけど、どうやら仏教って、
ある程度はわかることができそうなのだ。

どうしよう。

困った。

◆◆◆

というところまで書いて何度か読みなおすうち、
前半の「困った」の解決方法は少し見出せてきた。

「縁起」という"深遠な"言葉を使うことなく、
「ご縁」と書けばよかっただけのことなのだ、きっと。

ただ、はやまって訂正すると、
また困ったことになりそうな気がするので、
ぐっとこらえて、もう少し考えなくては。


(つづけざるを得ない)
 2016.02.08 Monday 14:42 『仏教思想のゼロポイント』 permalink