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“きずな依存” “つながり依存” そして「同調圧力」
米田智彦『デジタルデトックスのすすめ』を読んでいる。



前回の続きで、第1章の、
成城墨岡クリニック院長のお話を
もう少し読んでいきたい。

墨岡院長のお話によると、
以前のテレビゲーム依存とは違って、
「他者からの承認を頻繁に求める」というのが
SNS依存の大きな特徴であるという。

リアルな人間関係のなかにSNSが入り込んできて、
いつの間にか、他者からの評価や支持をもらわないと
気が済まなくなっていくことも、SNSの怖い側面だ、と。

で、前回も書いたように、この本のなかで
特に日本の中学生以下に的を絞った議論はされていないし、
(韓国の青少年に対する対応の話は出てくる)
墨岡院長もそのことは示していないのだが、
実は、「ママ友」という言葉が一度だけ出てくるのだ。

注目すべきは中学生や小学生や幼児ではなく、
その保護者であったか!?と思いきや、
ママ友のなかで、ネットに関わる
いじめがあるということではなく、
「女性どうしのコミュニケーション」という視点で
出された話のなかでちょろっとその言葉が出てくる、
という感じ。

墨岡院長が言うには、
コミュニケーションに長けた女性のほうが
中毒になりやすいのが
SNSへの依存症の特徴でもあるらしく、
mixiやLINEなどへの依存症も
ほとんどが女性なのだそう。

私にとっては、ちょっと意外な話だった。

 それは、たとえば、女性のほうが
 依存症のしんどさを自覚して
 クリニックを訪れる場合が多く、
 結果的に多いという印象を与えているとか、
 そういうことなんじゃなかろうかとも思ったのだが、
 そのあとのページで(特に女性とは示されていないが)
 ネット依存症が進んでうつ状態になった人が
 「病院に連れてこられる」という記述があるので、
 自分でクリニックに行くというよりは、
 連れてこられる場合も多く、
 それくらい悪化するのは女性が多い、
 ということかもしれない。
 あるいは、男性はゲーム型依存が多い
 ということかもしれないな、と思ってみたり。

墨岡院長はこう語る。
なぜなら、日本人は同調志向が強く、日本の女性には昔から日記文学があったり、学生時代には友達同士で交換日記をやるといった文化があったんですね。逆にいうと、『ママ友』など濃密な人間関係のなかで、一度できた輪からはずれるといじめも発生するということです。
(p.35)

これまた私は身近な例を知らないのだが、
「輪からはずされるママ友事情」的なものは、
一応噂では聞いたことがある。

 たぶん、それ以上に世間ではある話なのだろう。
 リンクはしないけど、
 検索するとけっこうひっかかってくる。

孤独を癒すという報酬を求める一方で、
輪からはずれたときのリスクへの不安で
ネットワークから抜けられなくなる、
ということなのだろう。

そのような状態は、
“きずな依存”“つながり依存”と
呼ばれているそう。

私自身は、こういう
「抜けられないネットワーク」とは
縁のないラクな生活を送れているのだが、
(別の意味で抜けられないのはPTAです〜〜)
むしろ、「世間でTwitterがはやっている」
というそのこと自体が、
大きな大きなネットワークだった。

そして、そのなかに入っていけない自分が
なにか世間からはじかれているような感覚を
味わっていた時期がある。

というか、Twitterのアカウントをとるまで、
ずっとそうだった。

なぜこんなことがはやるのか、理解できない。
なぜこんなことが世間に受け入れられているのか、
わからない。

そして、自分には必要ないのに、向いていないと思えるのに、
なぜかやらなくちゃいけない気になってくる。

必要ないならないでスルーすればいいのに、
それもできない。

はやい話、「時代についていけてないな…」と
感じていたのだと思う。

他のことであまりこういうことを気にしたことはないが、
ことネットのことになると、なんだか気になってしまう。
mixiもそうだった。

これはこれで、とても大きな意味での、
「同調圧力」を感じていたのだろうと思う。
だれも何も言わないのに、自分で勝手に。
Twitterをやっていない人だって、
世間にいっぱいいるだろうに。

第1章の後半では、国策として、
いち早くネット依存に取り組んでいる
韓国の対策も紹介されているのだが、
墨岡院長は、日本や韓国でLINEが流行するのは
「同調型」という国民性にあると分析されているもよう。
(なお、中国でもネット依存症は相当深刻らしい)

ただこのあたりは、安易に国民性だけで
考えないほうがいいかもしれない、とも思う。
■『LINE』が欧米で普及してない驚くべき理由 外に目を向けて見ると……
http://getnews.jp/archives/496824

だけど、「世間」と「空気」に敏感な日本人ほど
依存に陥りやすいという話を聞くと、
例の沈没船のジョークを思い出すし、
ない話じゃないな、と思う。

ウィキペディア>エスニックジョーク

私が昔きいたのとちょっと内容が違うような気がするけれど、
日本人についてのニュアンスは同じだった↓

 豪華客船が沈没しそうになったとき、
 乗客を海に飛び込ませるには、
 どのように声をかければいいか?
 日本人の場合→「みなさん飛び込んでますよ」

だけど(だから?)「デジタルデトックス」は
アメリカから伝わってきたんだよなぁ…
と思うことであった。

墨岡院長わいく、
「ネット、スマホ、SNSへの依存は、
同調圧力に弱い、生真面目な日本人の方が
病理は進んでいると思います」

ちなみに、実際にネット依存かもしれないと思っても、
いきなり遮断するのは良くないそう。

たとえば、いきなりスマホを取り上げると
逆効果になることが多いのだとか。

ネットやスマホへの接触時間を
徐々に減らしていくことと同時に、
それらが自分に有害であると認識することから
始める必要がある、とのこと。

それにしても、ちょっと気になることは…

“国策”としてネット依存に取り組んでいる韓国は、
国民総背番号制を利用して
けっこう強制的な規制を行っているらしいのだが
(16歳未満の青少年は午前0〜6時の間、
オンラインゲームにアクセスできないようにする等)
日本でも2014年度から
文部科学省がネット依存に取り組むべく、
予算を取ろうとしているとのこと。

ほんでもって総務省は、業界団体の規制をつくろうと
ネットを遮断する予算を要求している段階だそうだが、
 しかし、いろんな団体があり規制があっても、業界団体による自主的なもののため、日本のネットやソーシャルメディア、ソーシャルゲームへの対策は、あまり進んでいるとはいえません。当然ですが、企業側は利益も追求する必要があるため、非常に曖昧(ルビ:あいまい)な規制になりがちです
(p.43/墨岡院長のお話)

なんというのか、規制に頼るのではなく、
企業の利益追求にもっていかれるのでもなく、
自分にとって何がどのくらい必要か自分で判断して、
快適なネット生活を送れていけたらいいですよね…

〔余談〕
ちょっと話はズレるけど、思い出したのでリンク↓
消費社会を変える論理の“強さ”
サイレント・マジョリティ

(つづく)
 2014.02.19 Wednesday 13:22 『デジタルデトックスのすすめ』 permalink